コンピュターシュミレーションによる、バーチャルオペを活用した“ノーベルガイド”を取り入れてから、かなり経つ。最初は恐る恐る慎重に始めたのだが、いざ慣れてみると、通常のオペよりかなりスムーズにことが進む。
オペ担当の衛生士と顔を見合わせて“にっこり”することもしばしばだ。
“ノーベルガイド”のすぐれた点は、痛みが軽減されるのみならず、その日のうちに仮歯が入るところにある。
1本や2本ならばともかく、総入れ歯の方は、今まで大変な思いをしてきたのだ。
インプラントの手術で、歯ぐきがはれた上に、入れ歯を入れるしかないのだから、我々が思う以上に、相当な苦労だったに違いない。
それがいまや、その日のうちに仮歯が入り、ものが食べられるようになった。
しかも、これまたコンピューターで削りだしたチタンは、正確無比で、すこぶる軽い!

この正確さを得るために、以前はどんなに苦労したか!
我々歯科医師だけでなく、技工士さんも徹夜して泣きながらあわせていたものである。
なにせ、ミクロの正確さがなければ、失敗する事になるので、ここには異常なる執念を燃やしていたのだ。
もちろん、今流行のセメントでの合着ではなく、ネジ止めだからこそ、起こる問題なのではあるが。
それが今や、正確な型取りさえすれば、機械が削りだしてくれる。
いい時代になったものである。
おもえば、最初にスゥエーデンに研修に行った1989年当時のオペは、手探り状態だったため、とても怖かった記憶がある。
それに比べれば、今の先生たちは、検査の種類や制度が格段に進んで、極めて安心であろう。
科学の便利さに、一抹の不安は覚えつつも、医療に関しての進歩に対しては、感謝をしている毎日である。
2008.07.19 Sat l 歯科のトピック l COM(0) TB(0) l top ▲
つい先日、インプラントで有名な先生が死亡事故を起こしてしまった。聞くところによると、下顎の5番1本のインプラントオペで、よもやの事故なのだろう。
その先生は、現在ストレスで病気になってしまったそうだ。
私はその先生のことをよく知らなかったが、インプラントで一世を風靡した人なのだという。
これはおそらく油断である。
1本でも必ずCTを撮って、骨の状態を確認しつつ行えば、フラップ、ノンーフラップに拘らず、まず避けられる事故であったといえるであろう。
我々の歯科の分野で、それもインプラントでの直接死は許されることではない。
世間の人は、インプラント手術の受診を決める時にそんなことは微塵も思ってないからである。
ただ、どんなに気を使っても、何が起こるかわからない。
それが医療であることもまた事実である。
これからの人達は、くれぐれもメーカー主導の雰囲気に飲まれないで欲しい。
“簡単に出来ますよ”と言う言葉にだ。

相反することを言うようであるが、私は将来、インプラントを誰にでもできる、腫れずに痛みもなく、1日で行える夢の処置法として確立しようと思っている。
しかし、それはいろいろなことを勉強した上でのことだ。
症例数を多くして、早く一人前になってもらうのも含んでいる。
簡単な処置方法を確立するのと、簡単だと甘く見て参入するのとは天と地ほども違うのだ。
我々には文字どうり“万が一”は許されないのだから。

2007.08.14 Tue l 歯科のトピック l COM(0) TB(0) l top ▲